JavaScriptでPCの空き容量やメモリ量を取得できる？Chromeの制限と代替手法

2025-10-08

「ブラウザ上でJavaScriptを使って、ユーザーのPCのHDD空き容量やメモリ容量を取得したい」──Web開発をしていると、こうした疑問を持つ方も多いでしょう。

しかし結論から言うと、ブラウザ環境（特にChrome）では、OS全体のストレージやメモリ情報を正確に取得することはできません。

その理由と、代わりに利用できる「近い情報の取得方法」について、わかりやすく解説します。

🔒 なぜブラウザではPCのリソース情報を取得できないのか？

Chromeを含む主要ブラウザでは、ユーザーのプライバシー保護とフィンガープリント対策のため、ハードウェア情報のアクセスが厳しく制限されています。

もし自由にディスク容量やメモリ総量を取得できてしまうと、ユーザーの端末特定や追跡が容易になり、セキュリティ上のリスクが発生します。そのため、JavaScriptからOSレベルのリソースに直接アクセスすることはできません。

const deviceRamGB = navigator.deviceMemory;
console.log(deviceRamGB); // 例: 4, 8 など

navigator.deviceMemory は搭載メモリのおおまかなGB単位のバケットを返します。正確な容量ではありませんが、端末の性能目安として利用できます。

const heap = performance?.memory;
console.log(heap?.usedJSHeapSize, heap?.totalJSHeapSize);

これは「JavaScriptエンジン（V8）」が使用しているヒープメモリ量を取得します。Chromeなど一部ブラウザでのみ有効で、実際のRAM使用量とは異なります。

const { usage, quota } = await navigator.storage.estimate();
console.log(`使用量: ${usage}, 割当量: ${quota}`);

OS全体の空き容量ではなく、「このサイト（オリジン）」に割り当てられたストレージ上限と使用量の概算が取得できます。

const cores = navigator.hardwareConcurrency;
console.log(cores); // 例: 4, 8 など

CPUの論理コア数を取得できます。パフォーマンス調整などに応用できます。

これらはセキュリティ保護の観点から、ブラウザAPIでは完全に非公開となっています。

もしアプリとしてPCリソースを管理したい場合は、ローカルアプリ（Electron・Node.js・Pythonなど）を利用すると、OSレベルの情報を安全に取得できます。

例：

// Node.jsでディスク空き容量を取得（例）
import checkDiskSpace from 'check-disk-space';
checkDiskSpace('C:/').then(info => console.log(info));

目的	利用可能なAPI	正確度
概算メモリ容量	navigator.deviceMemory	低（バケット表示）
JSヒープ使用量	performance.memory	中（Chrome限定）
オリジンストレージ量	navigator.storage.estimate	中
CPUスレッド数	navigator.hardwareConcurrency	中
OS全体の空き容量	取得不可	✖